大和堂から「大和楷書」と「大和篆書」の2書体がリリースされました。「大和」と言っても、かつてマルスが販売していた「大和フォント」シリーズとは無関係です。
■大和楷書
「大和楷書」は手書きのテイストを保ったままフォント化しているので、他の大手フォントメーカーがリリースしているような全体的に整ったものとは一線を画しています。どう違うのか具体的にダイナフォントの「中楷書体」と比較してみましょう。





■大和楷書

■DF 中楷書体

ダイナフォントの楷書体は全体のバランスが良く、とてもスマートな印象を受けます。対して「大和楷書」は手書きの味を強く残しているため一字一字に力強さがあり、自己主張の強い楷書体と言えます。
スマートな表現をしたいときは「DF 中楷書体」のような大手フォントメーカー製のデザイン処理を施した楷書体が適していると思います。しかし、まとまってしまいすぎているために人間の温かさのようなものが弱いとも言えます。そこで、そうした弱点を持たない「大和楷書」のような手書きの雰囲気を残す楷書体が威力を発揮します。
たとえば、賞状などがいい例になるでしょう。整った楷書体を使った賞状だといかにも印刷した、既製品って感じがして安っぽさを感じてしまいます。しかし、「大和楷書」なら手書きっぽさがあるので賞状に威厳さというものが出て、賞の価値が高まったように感じさせることができるでしょう。
誰でも賞状の1枚や2枚もらったことがあると思いますが、威厳を感じる方が絶対にいいですよね。私もかつて何枚か賞状をもらったことがありますが、本文に明朝体が使われていた賞状にはちょっと安っぽさを感じました。小学生ながら、やはり手書きだと重みを感じたものです。

力強い書風が魅力の「大和楷書」
「大和楷書」は印章の世界でも実績のある角田氏が書き下ろしたもので、達筆さに疑いはありません。その確かな裏付けのある、手書きの味を残した楷書体というところに「大和楷書」の価値があると思います。プロユースにも満足してもらえる楷書体と思います。
●「大和楷書」
・価格:14,000円(Mac及びWindws版TrueTypeフォント)
・価格:25,000円(Windows版OpenTypeフォント)
■大和篆書
次は「大和篆書」ですが、「篆書」とは漢字の古書体のひとつで、現在は印章などに使われている書体です。「大和篆書」も特徴的な篆書体なので、他社のものと比較してみましょう。
■大和篆書

■白舟篆書

「白舟篆書」も実績のある書体で、篆書体の王道と言えるものです。対して「大和篆書」はカスレを表現に取り込んでおり、そこが大きな特徴となっています。篆書は一般人にとって古い時代のイメージがあると思いますが、「大和篆書」はそのイメージをカスレを付加することにより、より古い雰囲気を持たせることになりました。印章以外にもグラフィックデザインなどに用いれば効果的な表現を可能にしてくれそうです。特に篆書のような書体は数が少ないので今回のリリースは嬉しいですね。
●「大和篆書」
・価格:各14,000円(Mac及びWindws版TrueTypeフォント)
なお、大和堂フォントは別途契約無しで印刷物作成、、看板制作、文書作成、印章、プレート、墓石、石碑彫刻・版下作成・篆刻・刻字・落款等に使用することができます。
現時点では残念ながら「大和堂」のWebサイトは存在しないようですが、入手は下記のネット通販サイトで購入することができます。